<美しい絵画〜心をいやす美と安らぎの広場>
        
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美術評論家・動く美術館長
川島 博による
≪第2回≫
【水彩画】 「青黄両施無畏図」 棟方 志功
  昭和31年のペニス・ビエンナーレ国際美術展においてのグランプリ受賞を機に棟方板画の国際評価は急速に高まり、後の棟方板画芸術の確立へと結びついていったのである。
  しかし反面、油絵や水彩画等の分野にも深い宗教観に裏打ちされた個性あふれる秀作のある事も見逃すことができない。その一つがこの大作である。
  中央左右に青黄を配し乍ら作家の求める真理は、菩薩の無畏施の広大な慈悲の心をあらわす仏教思想を根幹として、生命創造の貴さとその清らかで美しい平和な生命の無限性を讃えるところにあり、これは畢竟、氏の人生観の代弁であり正に棟方哲学をここに見る事ができよう。
  又、中央の女人仏の姿態に日本女性の永遠の美しさをも求めたものと思われる。流れる線の美しさと共に細やかな構成の配慮と彩色の妙は、より一層画面に安定と風格をそえて流石である。
  極めて強い個性の結果、氏ならではの幾多の人生の歓びと悲しみを送った芸術家であったこの棟方志功72年の生涯は、わが国の美術界に対しても又文字通り比類なき貴重な足跡を示していったのである。今ここに改めて志功芸術の深さを知るべき時である. 
  版画家。文化勲章受賞。日本の縄文のパトスを豪放な板画芸術に再現。
国際的にも多くの受賞を重ねると共に、戦後、わが国の版画隆昌の道を拓いた天才であった。昭和50年没72歳。青森県出身。


◇本頁の解説は美術公論社刊 「美術名鑑」 より抜粋させていただきました。